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アルシオン通信

Alcyon Blog

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2024年06月18日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年41本目】映画「碁盤斬り」観ました。

草なぎ剛と白石和彌監督が組んだ時代劇。
古典落語をモチーフに、冤罪事件によって藩を追われた男の、父として、さらに武士としての誇りをかけた復讐を描く。
脚本は加藤正人が担当。
草なぎふんする浪人の娘を清原果耶が演じ、中川大志、奥野瑛太のほか、斎藤工、小泉今日子、國村隼らが出演する。

いわれのない嫌疑をかけられて藩を離れ、亡き妻の忘れ形見である一人娘・お絹(清原果耶)と共に貧乏長屋で暮らす浪人・柳田格之進(草なぎ剛)。
落ちぶれても武士の誇りを捨てず、趣味の囲碁にもその実直な人柄が表れており、うそ偽りない勝負を心掛けていた。
しかし、あるきっかけから隠されていた真実が明らかになり、格之進は娘のために命懸けの復讐を誓う。

【感想】
正直とは何か。生き様とは何かを現代に問う王道時代劇。

まずストーリー、脚本。
これはまさに王道時代劇。
正直で無骨な主人公をしっかり中心に据え、登場人物ひとりひとりをしっかりと書き込む。
原案は落語とのこと、なるほどプロットの回収、起承転結のメリハリも鮮やか。
観やすさ、わかりやすさをベースにしているのでテーマがクッキリする、
ウェルメイドなストーリー設計です。

次に演出・演技。
まずは主演の草なぎさん、こんな役もできるのか!と驚くばかり。
いや、やれるんでしょうけど、ここまでの再現力、当時の価値観まで感じさせる役作りは圧巻です。
負けてないのが娘役の清原果耶さん。
その佇まい、台詞一つ一つに載せる感情の豊かさ、文句なし。
彼女の存在が作品の確かな下支えになっています。

ただ、
いかんせんストーリー展開は王道過ぎて先が読める点。
囲碁が重要なモチーフ、その割には「碁盤の中の出来事」がさほど話と絡まない点。
時代劇に見えない演技、準備しきれなかったのかそぐわないセットがあった点。
これらは残念に感じました。

さて。
武士であるには無骨であったり、融通知らずだったりが必要で。
一方、市井に戻れば実直なだけでは生きにくく。
これは現代においても職業人としての有り様と市民・家庭人としての生活に翻訳できる、通底の悩ましい構造。
振り返るに今作、
落語らしいオチで終わらすこともできたはずなのに、
あえての、あのラストシーン。
主人公、格之進の結論には強い共感を覚えました。

メッセージ性とエンタメが上手にブレンドされた作品で合ったと思います。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年06月16日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年39本目】映画「関心領域」観ました。

第2次世界大戦下のアウシュビッツ強制収容所所長とその家族を描いたマーティン・エイミスの小説を原案にした歴史ドラマ。
収容所の隣で穏やかに暮らすルドルフ・ヘス所長一家の姿を通して、それとは正反対の収容所の残酷な一面を浮かび上がらせる。
監督はジョナサン・グレイザー。出演はクリスティアン・フリーデルやザンドラ・ヒュラーなど。

ナチスドイツ占領下にあった1945年のポーランド。
アウシュビッツ強制収容所で所長を務めるルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)と妻のヘドウィグ(ザンドラ・ヒュラー)は、
収容所と壁を隔てたすぐ隣の家で暮らしていた。
収容所からの音や立ち上る煙などが間近にありながら、一家は満ち足りた日常を送っていた。

【感想】
狂っているのは誰か。狂わせているのは何か。
人間という種の闇をあぶりだし尽くす問題作。

まずストーリー。
これは、かの有名なアウシュビッツが舞台。
淡々と、少しづつ、着実に進むストーリー展開から、急激なラスト。
当たり前ですが非常に確信犯的。
主題の骨格をきちり捉えた硬質な脚本でした。

次に演出。
これはただひたすらに「怖い」。
まず、音の演出、ひたすら不穏。
ギミックの効いた永続の演出。
意図的に青い空、、。
日常の描き方にいたるまで、平凡すぎて怖い、、、。
こんな手法があったのだと、意表を突かれました。

ただ、
アウシュビッツをテーマにした映画は数多く、
既知のの情報も過多の中での作劇、
新規性がどれほどあったのかといえばそこまででも無く。
衝撃度も耐性がついてしまっているのかこれもまたそれほどでも無く、
といった点は残念でした。

さて。
いつも思うのです。

アウシュビッツ、ナチスドイツによる蛮行、
このような惨劇を担うのは特別な狂人ではなく、
ただ日々を暮らす市井の人々であるということ。
そして今なお世界で続く、虐殺の数々。
これを許してしまっているのもまた、私自身を含む一般の市民なのだと。
原因はいつだって人間の業。
過剰に膨れ上がっていく欲深さと、そのために身につけた無関心というテクニック。
自分のため、家族のためと言い訳しながら、身近じゃない犠牲には目をつぶってしまう。
この積み重ねがいつしか集団の狂気に変容していく。

歴史から学ばなきゃいけないのに、繰り返されていく光景。
あのラストシーン、飽和、もしくは破綻していく有様は非常に示唆的。

過去を振り返る映画では無く、今を穿つ作品だったと思います。

【評価・つけるとすれば】
3.8です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年06月13日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年37本目】映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前篇・後編」観ました。

浅野いにおの漫画をアニメ化した2部作。
東京上空に謎の宇宙船が浮遊する異常事態の中で、青春を謳歌する女子高生たちを描く。
アニメーションディレクターを黒川智之、脚本を吉田玲子が担当。
ボイスキャストには音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル・ikuraとしても活動する幾田りら、
歌手やタレントなど多彩に活動するあののほか、入野自由、諏訪部順一らが集結する。

前篇
3年前の8月31日、東京上空に突如として巨大な宇宙船「母艦」が襲来し、世界は終末を迎えるかに思われた。
しかし上空に宇宙船が浮遊する光景は徐々に日常の風景となり、女子高生の小山門出と「おんたん」こと中川凰蘭は、
受験勉強に追われながらも趣味のゲームに興じ、
友人たちと共に学生生活を楽しんでいた。異様な状態が日常へと溶け込んでいく中、ついに悲劇が起こる。

後編
高校を卒業した小山門出と中川凰蘭は同じ大学に通うことになり、
そこで出会った竹本ふたば、田井沼マコトと意気投合し、オカルト研究部にも入部して大学生活を満喫していた。
そのころ、東京各所で宇宙からの”侵略者”が目撃され、自衛隊は彼らに対する駆除活動を粛々と実行していく。
さらに東京上空に浮遊する母艦からは煙が立ち上り、政府転覆を掲げて侵略者狩りをする過激派グループ・青共闘も暗躍するようになる。
凰蘭はそんな中、かつて遭遇した不思議な少年・大葉と再会する。

【感想】
この世界の狂気をチューニングするのはまた狂気しか無いのか。
ゆがんだ社会に巨大にな石を撃つ、真性社会派青春映画!

まずストーリー。

とにもかくにも確信犯的な脚本。
台詞一つ一つにしっかりとした意味をもたせ、
会話の流れの中にかりそめの平和を溶け込ませる。
ちょっと振り切れている台詞も「悪意」的に用意。
物語のテーマ性を脚本だけでも十分に持って行く、流石の力量です。

次に演出・演技。
おそらくは原作の世界観通りであろう、
書き込みの緻密さとダイナミックさはアニメーションの最高峰、流石の出来映え。
ロケーションの的確さ、原風景の描き出しも素晴らしい。
そして声優陣。
あのちゃん、幾田りらの二人、よくぞキャスティング!
この二人はまさしく今年のベストキャクティングオブジイヤー、
この才能を見いだしただけでも本作の価値があります。

さて。
日々生活していると、その営みが当たり前に優先で。
目の前に存在している「不都合」もこれまた当たり前に先送りで。
いつかのその日をやり過ごす、ただそれだけの日々をかりそめに幸福と呼んでしまう。

なんとか胸の中で封印している事実を目の前に晒されたとき、

どんな行動をとればよいのか。
どんな声を上げればよいのか。
冷静になればよいのか。
熱情を燃やせばよいのか。
いっそ狂ってしまうべきなのか。。

様々な感情を呼び起こされる作品で合ったと思います。
ぜひ身近な問題として捉えていただきたい一本でした。

【評価・つけるとすれば】
4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
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☆5・・・・生涯の名作!です

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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年06月07日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年36本目】映画「ミッシング」観ました。

吉田恵輔監督が石原さとみを主演に迎えたヒューマンドラマ。
失踪した娘を捜す母親が焦りや怒り、夫婦間の溝、インターネット上での誹謗中傷などにより心をむしばまれていく。
青木崇高や森優作、有田麗未などが共演する。

沙織里(石原さとみ)の娘・美羽(有田麗未)が失踪して3か月。
沙織里は世間が事件への関心を失っていくことに焦り、夫の豊(青木崇高)との間にも溝ができ、二人は言い争うことが増えていた。
そんな中、美羽の失踪時に沙織里がアイドルのライブに行っていたことが露見し、彼女はインターネット上で誹謗中傷を受けるようになる。

【感想】
荒唐無稽な現実が「人」そのものを切り裂いていく。
監督の作家性が炸裂する意欲作。

まず、ストーリー、脚本。
実際にはありえなさそうな、しかしながら現実的に起こりうる事件。
ちょっとでもバランスを取り損なうとあっという間に崩壊しそうなきわどいストーリー。
多くも少なくもない台詞の数、的確なワードチョイスで紡いでいく。
こだわりきった丁寧さが一層問題点をあぶりだす、常に槍の剣先が目の前に突きつけられているような。
緊張感も十二分な脚本です。

次に演技、演出。
まず、なんといっても主演の石原さとみさん。
役と向き合い、役を身を捧げ。
テレビドラマで観る彼女、美人女優ぶりは完全に封印した、本気、ふりきりぶり。
素晴らしい、いや、すさまじい演技でした。
脇を固める青木崇高さんの感情を抑え込んだこらえきる役作り。
中村倫也さんの隠しきれない葛藤、ブレてしまう正義感もともに白眉。
どの俳優さんも脚本以上を狙っていることがはっきりわかる演技、
それに応える演出陣。
丁々発止の先につかんだハーモニー、素晴らしかったです。

さて。
おそらくはテーマである「無関心」と「悪意」。
これはどうにもこうにも身に覚えが無いとは言えず。
興味のあった痛ましい事件もいつの間にか新しい事件に上書きされ。
持っていたはずの憤りや同情といった感情も希釈されていく。
かろうじて覚えていることに振りかざす我が正義感の陳腐さ、恥じ入るばかり。
さらにはSNS上には不用意な書き込みだらけ、
デジタルタトゥーは時間を越えて他者を傷つける、ただ読むことだけでも加担していることにならないか、
これもまた自己嫌悪を感じました。

己の未必の悪意を向きあう2時間あまり。
貴重な体験だったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.1です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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by alcyon | 映画観た
2024年05月29日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年34本目】映画「青春18×2 君へと続く道」観ました。

台湾の紀行エッセイ「青春18×2 日本慢車流浪記」を原作に描くラブストーリー。
台湾と日本の男女がアルバイト先で出会い、お互い惹かれ合う。
藤井道人が監督などを手掛け、俳優チャン・チェンがエグゼクティブプロデューサーを担当する。
シュー・グァンハン、清原果耶らが出演している。

高校生のジミー(シュー・グァンハン)のアルバイト先に、日本から来たバックパッカーのアミ(清原果耶)が現れる。
二人は夏の間同じ店で働くことになり、ジミーは4歳年上のアミに淡い恋心を抱くようになる。
バイクで夜道を走ったり、映画を観に行ったりするうちに、彼らの距離は縮まっていくが、
ある日突然アミが日本に帰ることになり、戸惑うジミーにアミはある約束をする。

【感想】
圧倒的な瑞々しさが、心の中心をしっかりと貫いてゆく。
語り継がれるべき、美しすぎる青春映画!

まずストーリー、脚本。

まず目を引くのは王道感たっぷりのストーリー。
ボーイミーツガール、ガールミーツボーイ。
この二つを掛け合わせて、研ぎ澄まして、純度の高い「青春」の雫を取り出していく。
予想のつく、既視感だらけの展開の中でしっかりスパイスの効かせ、結末の美しさに磨きをかける。
伏線回収の数も的確さも文句なし。
満足度の高さは生涯補償級の脚本でした。

次に演出だったり演技だったり。

まず一番に感じるのは監督、制作陣の映画に対する愛情の深さ。
様々な日本映画、台湾映画へのオマージュを織り込みながら、
どこか懐かしさを感じる台湾、台南市の情景を写し取っていく。

それだけでももう十分なのに。

主演の二人。
アミとジミー、清原果耶さんとシュー・グァンハンさんの演技が、
作り込まれた設定を演技で完全に越えていく。
一つ一つの台詞、ちょっとした目の動き、笑顔の意味。
本当に映画の中で生きていたかのよう。

さらには大人になったジミー。
そして出会っていく人々。

誰もが優しく、暖かい。

もっと露悪的なシーンを入れてバランスをとることもできたはずなのに、
あえてこだわった藤井監督の覚悟。
強いメッセージ性を感じることもできました。

さて。
いま、青春という言葉を口にすることなんてなかなかにない年齢になり。
振り返ると、いつあの日々が始まって、いったいいつ終わっていたのか。
あの瑞々しさは確かに自分にも存在していたはずで、無意識に枯れていて。

いったい何を探していたのか。
いつのまにか何を諦めてしまったのか。
持っていたのは何だったんだろうか。
棄ててしまったものはどこに行ってしまったのか。

そして、
今でも忘れていないこと、
達成できてないかもしれないかもしれないが、諦めていないこと。

そんなことを思い起こさせてくれる作品であったともいます。

遠く離れてしまった友人に、会いたくなりました。

素晴らしい映画体験でした。

【評価・つけるとすれば】
4.5です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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by alcyon | 映画観た
2024年05月24日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年34本目】映画「落下の解剖学」観ました。

解説・あらすじ
第76回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したサスペンス。
夫が不審な転落死を遂げ、彼を殺害した容疑で法廷に立たされた妻の言葉が、夫婦の秘密やうそを浮かび上がらせる。
メガホンを取るのはジュスティーヌ・トリエ。
ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルローのほか、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツらが出演する。

ベストセラー作家のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)は、
夫と視覚障害のある11歳の息子(ミロ・マシャド・グラネール)と人里離れた雪山の山荘で過ごしていたが、
あるとき息子の悲鳴を聞く。
血を流して倒れる夫と取り乱す息子を発見したサンドラは救助を要請するが、夫は死亡。
ところが唯一現場にいたことや、前日に夫とけんかをしていたことなどから、
サンドラは夫殺害の容疑で法廷に立たされることとなり、証人として息子が召喚される。

【感想】
「真実」が「本当に起こったこと」とは限らない。。。
疑念の連鎖、たどり着く深淵に心ざわめく問題作。

まず脚本。

これは主人公が作家であるという設定をフルに使い切り、
伏線をこれでもかと張り巡らしたゴリゴリのサスペンスに仕上げています。
基本的には法廷とその外、現在進行の裁判と当時の家族の状況をパラレルに見せていくのですが、
台詞量がよく整理されていて混雑しないのもよくできてるなと感じました。

研ぎに演出演技。
物語の主軸になる息子役、ミロ・マシャール・グラネールの肝の据わった演技は素晴らしく、必見に値します。
法廷の様子や心理描写も細やかに演出されていて見逃しどころも少ない印象でした。

ただ、
・やっぱり尺がながく、集中していないと同じシーンに見えるシークエンスも散見されますし、
・作家性なんでしょうが、観客の心情を結構な割合で置き去りにするので、気持ちのついて行けないシーンも少しばかり多く感じました。

さて。
話の内容としては正直あまり共感できず。。
息子の台詞、
「何が真実がわからない時は、心で真実を決めるしかない」
とはいうものの、
そこには印象の大きさに埋もれてしまうことが多すぎるし、
正直結論ありきの打算も感じるし、、、。
特に主役の小説家・妻の佇まいにはおぞましさしか感じませんでした。

審美、真贋の重要性はわかっているつもりでしたが、
今一度、事実の確かめ方、偏りの排除をよくよく反省せねばと感じる作品ではありました。

【評価・つけるとすれば】
3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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by alcyon | 映画観た
2024年04月25日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年19本目】映画「パストライブス/再会」観ました。

離れ離れになっていた幼なじみの男女が、24年間のすれ違いを経てニューヨークで再会を果たすドラマ。
監督はセリーヌ・ソン。
グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロらが出演する。
ベルリン国際映画祭やゴールデン・グローブ賞などにノミネートされた。

ソウルに暮らす12歳のノラとヘソンはお互いに惹かれ合っていたが、ノラが海外に移住したことで離れ離れになる。
12年後、ニューヨークとソウルでそれぞれの道を歩んでいた二人は、
オンライン上で再会してお互いへの思いが変わっていないことを確かめ合うが、すれ違いも起こしてしまう。
さらに12年が経ち、36歳になったノラ(グレタ・リー)は作家のアーサーと結婚していたが、
ヘソン(ユ・テオ)はそれを知りながらも彼女に会うためにニューヨークへ向かう。

【感想】
幾層にも重なった前世(パストライブス)の末、出会った二人。その行く末は運命なのか?

まずストーリー。
主要人物は3人。
幼なじみの男女と女性の旦那。
いつどこに地雷があるのかヒリヒリしそうなところをしっかり回避。
必要以上にしゃべらせない的確な台詞量だったり、
キーワード(「イリョン」)の際立たせ方だったり、
構成を練りに練ったことが十二分に伝わる。
素晴らしいストーリー、脚本です。

次に演出面。
まず目を引くのはニューヨークの情景の使い方、その巧みさ。
派手な画作り、しようと思えばいくらでもできたのに、
無機質さを廃し、人の温もりがしっかり伝わるような画作り。
韓国から遠く離れていること、違う生活を歩んでいることピタッと表す。
絶妙な心象描写。
ぐいぐい物語に引き込まれる映像表現です。
そして演技面。
これがまた実にいい!!
会話劇でありながら細かな手の動きなんかで、これまた細かな心情を伝えていく。
派手な感情表現はほとんどなし。
でもしっかり伝わる、深い気持ち。
三人三様、見事に自分の感情を表現しきっている。。
誰かしらに感情移入できる素晴らしいアンサンブルでした。

さて。
この映画のキーワード「イリョン」とは「運命」「摂理」と言う意味の様です。
人は運命によって導かれ出会う。

ただこの映画はそこで終わらない。

人には意志があり、自ら自分の人生を切り拓く。
摂理、運命の向こう側まで描ききったところにこの映画の意味がある。

今までいろんな人に出会い、それはたしかに運命で。
今までいろんな人と疎遠になり、それはしかし僕の意志で。
そしていろんな人とつながり合っている、これこそもまた「僕らの」意志。

甘いだけ、ほろ苦い人生じゃない。
案外、日常は豊かな味わいに満ちている。

これは名画だったんじゃないでしょうか。
おすすめして感想を語り合いたい映画でした。

【評価・つけるとすれば】
4.2です。

ちなみに
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by alcyon | 映画観た
2024年04月18日

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kazu_R

【観た/2024年18本目】映画「レッド・シューズ」観ました。

バレリーナとしても活動して生きたジュリエット・ドハティ主演のドラマ。
姉の死にショックを受けて踊れなくなったバレエダンサーが、かつてのライバルやダンスパートナーらとの再会を通じて再起する。
監督はジェシー・エイハーンと、俳優としても活動するジョアンヌ・サミュエル。
ローレン・エスポジート、キャロリン・ボックのほか、ジョエル・バーク、プリムローズ・カーンらが出演する。

有名なバレエ学校に通うサム(ジュリエット・ドハティ)は、自身がプリマを務める「赤い靴」の公演が間近に迫る中で、姉の訃報を知る。
憧れのバレエダンサーでもあった姉の死に打ちひしがれたサムは踊れなくなり、バレエ学校を辞めて荒んだ日々を過ごす。
思わず万引きをしたサムは、辞めたバレエ学校の清掃員として社会奉仕活動をすることを命じられ、そこでかつてのライバルや、
ひそかに思いを寄せていたダンスパートナー、恩師らと再会したことで、バレエへの情熱が再び湧き上がってくる。

【感想】
これぞ王道!もうそれでいい!!

まずストーリー。
これは確実にどこかで見たことのあるような、既視感たっぷりの進行。
悪く言えばありきたりですが、青春映画として考えれば無難な王道を目指したともいえる。
評価が分かれるでしょうが、僕は嫌いじゃない(*^_^*)

そして演出演技。
何しろバレエシーンの密度が濃い。
踊りっぷりのリアル感、床のきしみ音まで聞こえてくるかのよう。
これだけでも十二分に観る価値あり。
バレエ映画の本質、撮るべきところをしっかり捉えてています。

さて。

一つのことを大人数で完遂する事の難しさはバレエだけじゃなく。
感情の出し方や我慢のしどころはどんな事柄であろうと誰もが悩む。
リーダーは人気者なだけではその役割を完遂できない。
譲り合ってばかりいても何も起きない。

皆が皆を支えていく。
だからバレエは”company”,なのだと改めて認識することができました。
王道だから気づけた良さがあったと思います。

【評価・つけるとすれば】
3.8です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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2024年04月10日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年17本目】映画「ゴールド・ボーイ」観ました。

中国の作家・紫金陳の小説を、沖縄に舞台を移して実写化したクライムサスペンス。
実業家の義父母をがけから突き落とした男と、その犯行をカメラで撮影したことから男を脅迫する少年たちの姿を描く。
メガホンを取るのは金子修介。岡田将生、羽村仁成、黒木華のほか、星乃あんな、松井玲奈、北村一輝、江口洋介らが出演する。

沖縄。実業家一家の婿養子である東昇(岡田将生)は、義父母を殺害して富と地位を奪おうと、綿密な計画を立てる。
計画通りに義父母をがけから突き落とした昇だが、その様子を13歳の安室朝陽(羽村仁成)らが偶然にもカメラで捉えていた。
朝陽は母子家庭で経済的な余裕がなく、仲間もさまざまな問題を抱えており、すべてを金で解決しようと、昇を脅迫する。
昇と朝陽らが駆け引きを繰り広げる一方で、両親の死に不審を抱く昇の妻・静(松井玲奈)は従兄弟の刑事・厳(江口洋介)に相談を持ちかける。

【感想】
サスペンスに必要なものを十二分に詰め込んで、さらに飽和。想像の上、確かに!!

まずストーリーだったり、脚本だったり。
原作は中国のサスペンス小説とのこと。
サスペンスの王道を行くスピード感、ヒントを与えすぎない絶妙な台詞の量。
伏線の貼り方、破綻のさせ方、ともに想像以上。
さらには沖縄の風土、社会性も織り交ぜる、深みの持たせ方。
超一級の脚本といえるでしょう!

さらに演出演技。
まずは岡田将生さん、もうこの役はまるで当て書きされたかのようにピタリ。
「いやな感じの色男」を演じさせたらまずは外さない、仕上がりの良さはすでに担保。
さらには子役三人、その中でも羽村仁成さん!
周りを主演級の俳優陣に囲まれながら、すべてを喰らい尽くす、台詞回しの巧みさ、表情の殺し。
完全なるライジングスター。
この発見だけでも鑑賞に意味を持たせています。

さて。
お話の本筋は語るも無粋なので避けますが、、。
気になるというか、完全に狙ったであろう冒頭の教室のシーンの音作り。
沖縄という、独特だが、間違いなく日本社会の縮図を見事にワンシーンに閉じ込めていました。
ストーリーの荒唐無稽さがまるで隣人の出来事まで引き寄せられ、畏怖を感じました。

サスペンスだけでなく、社会性も撮りきった。
血の味のするもまた考えさせるものがあった、今年を代表する傑作でした。

【評価・つけるとすれば】
4.4です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年04月04日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年16本目】映画「52ヘルツのクジラたち」観ました。

町田そのこの小説を成島出が監督を務め映画化したドラマ。
家族に虐待された過去を引きずる女性が、かつての自分と同じような環境にいる少年と交流する。
杉咲花、志尊淳、宮沢氷魚のほか、小野花梨、桑名桃李、余貴美子らが出演する。

東京から海辺の町の一軒家へ越した貴瑚(杉咲花)は、家族からの虐待を受けて声を出せなくなった、ムシ(桑名桃李)と呼ばれる少年と出会う。
自身も家族に虐待されていた過去を持つ貴瑚は、彼を放っておくことができずに一緒に暮らし始める。
貴瑚と平穏な日々を送るうちに、夢も未来もなかったムシにある願いが芽生えていく。
それをかなえようと動き出した貴瑚は、かつて虐待を受けていた自分が発していた、
声なきSOSを察知して救い出してくれた安吾(志尊淳)との日々を思い出す。

【感想】
ほろ苦さではまだ軽い、全然足りない足りない。砂をかむでも物足りないような厳しさが残る物語。

まずストーリー。

原作はしっかり読んでいて、この重くて綿密な物語をどのように作画していくのか不安があったのです。
でもそこはさすがの制作陣、重要なエッセンスをきっちりくみ取り、余分な説明を削ぎきり、成立させていく。
骨格のしっかりした、筋肉質の、物語の性質にふさわしい脚本に仕上がっています。
これは原作ファンも不安なく観てよいと感じます。

そして演出演技。

主演、杉咲花。
まずこれだけでこの作品の社会性、問題の深さ、行く末のベクトルは示される。
スクリーンの中で生活しているような凄み。
映画の外側、バックストーリーや日常感を表現させれば世代随一。
むしろ、もうはじけるような青春映画は難しく感じるほどの実存感は見応えあり、見応えしかない。。

そして、今回の再発見、志尊淳。
繊細で、か弱く、優しい演技、、。
原作のイメージとは違う、とはじめは感じたのですが、きっちりオリジナル越え。
彼にしか表現できない、強い説得力。
この役に賭けていたんだろうとはっきりわかる覚悟。
見応えあります、見応えしかないです、、。

演出もテンポよく。
台詞のつなぎによどみがなく、
主軸二人以外はキャラクター設定もシンプル。
観やすさも担保されていました。

強いて言えば何ですが、。
でもやっぱり、主軸以外のキャラ設定は平坦で深みに欠け。
行政とのやりとりもバッサリ説明で片付けるあたりは物足りなくも感じました。

さて。
珍しくネタバレですが。

ヤングケアラー、児童虐待、ネグレクト、トランスジェンダー。

どれをとっても重要な課題で、明日の自分で、人ごとでも何でもない。

それでも聞こえない。
だから救いの手が伸びず、実際救われない。

苦しくて、つらくて、一人じゃ解決できなくて、社会はいつも冷淡で。
本当は聞こえているのに、聞こえていないふりをすることで、孤平穏を守るかのような日々。

この物語の主題はクジラたち。
複数形の物語。

孤独の先にある共鳴を求める物語。

砂鉄を噛むような味、忘れずに、日常に還元したいと感じました。

【評価・つけるとすれば】
4.1です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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