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アルシオン通信

Alcyon Blog

2025年07月04日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2025年27本目】映画「国宝」観ました。

【解説・あらすじ】

任侠の一門に生まれるも数奇な運命をたどり、歌舞伎役者の家に引き取られた喜久雄(吉沢亮)は、
激動の日々を送る中で歌舞伎役者としての才能を開花させる。
一方、彼が引き取られた家の息子・俊介(横浜流星)は名門の跡取りとして歌舞伎役者になることを運命づけられ、
幼いころから芸の世界に生きていた。
境遇も才能も対照的な二人は、ライバルとして互いに切磋琢磨し合いながら芸の道を究めていく。

芥川賞作家・吉田修一が歌舞伎の世界を舞台に書き上げた小説を映画化。
任侠の家に生まれるも、数奇な運命によって歌舞伎界に飛び込んだ男が芸に身をささげ、
歌舞伎役者としての才能を開花させていく。
監督は李相日、脚本は奥寺佐渡子が担当。
激動の人生を歩む主人公を吉沢亮、
彼の親友でライバルとなる歌舞伎界の御曹司を横浜流星が演じる。

【感想】
圧倒的緊迫感。この座組ができた事こそが奇跡の一本。

まずストーリー。
原作は未読なのですがおそらくは膨大かつ重厚なことは推察。
その上でリズムや緊迫感を失わず、約「三時間」の長丁場を緩みなく走りきる。
さらには誰もがその存在を知っているが決して身近ではない歌舞伎・梨園の世界をわずか「三時間」に封してみせる。
小説映像化の水準、その沸点を一気に上げたすさまじき、圧倒的な力量の脚本です。

そして演出・演技。
まずはこの時代、吉沢亮と横浜流星という希代の俳優が二人そろう奇跡。
これだけの大型作品、人気と技術、供に兼ね揃えたこの二人の存在なくしてこの映画は成立しない、おそらく企画も通らない。

どこまでもどこまでも突き抜けてゆく吉沢亮。
自分こそが主役の演技ができるはずなのに敢えて「引く」、裏打ち的な技術もできることを証明した横浜流星。
歌舞伎そのものを演じてみせた渡辺謙。
国宝を演じるのにこれほどの説得力を持たせることができるのは世界でこの人だけ、田中泯。
いったいどこから連れてきたのか、末恐ろしいとしかいいようのない子役陣。

この隙のないキャスト陣のライフタイムベスト、常に上を目指す演技合戦を観るだけでも劇場に足を運ぶ価値は十二分。

演出の濃度も秀逸。
「演じる」だけでも相当な難易度なのに、
映画の中にもう一箱、演劇的演技を構築し、矛盾なく破綻なく魅せきる。
同じ映画の中に観客目線、役者目線をシームレスに共存させ、
家族の背景、恋人との行方、何より主軸二人の愛憎をも越えた友情を描ききる。
これまたよくぞたったの「三時間」で、と思わざる得ない、出色の出来映えでした。

まあ強いて言うなら、

女性陣の心情の変化への書き込みが薄く、観客任せな点は少し不親切。
ここも深掘りするには尺が延びるばかりでしょうから仕方ない、のはわかるのですが、
これだけのキャスト陣、もったいなく感じたのも確かです。

画作り的にも色の出し方が緩く感じ、
劇中劇もやや長く感じました、

がこれはいちゃもんの範囲、
問題と言うほどではないです。

さて。
生きていく。
その長くもあり短くもある日々の中で、
いったいどれほどのことが自分の思うようになるのか。

夢を見ることはできようが、実現はたやすくなく。
努力を重ねようとも必ず報われるわけでもなく。
幸運を目にしてもうまく飛びつけず、
悪運の深みには足をとらわれる。

順調、で有ることの概要は実はほんの一部の事象で、
他者や環境の引力に支配されていることの方が多いように感じます。

それでもです。

人は努力をやめないし、夢を見続ける。
時に狂気に陥ろうとも前を向き続ける。

報われる世界への希求なくして人生はままならないのもまた真実。

我々が映画や演劇にかりそめの希望を見るのはやはり必然。

それをここまでソリッドに走り抜けた今作。
歴史的傑作だったと思います。

追記
鑑賞後「覇王別姫、さらば我が愛」を想起しました。
こちらも改めて鑑賞したいと思いました。

【評価・つけるとすれば】
4.4です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2025年07月02日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2025年25本目】映画「ラブ・イン・ザ・ビックシティ」観ました。

【解説・あらすじ】

自由奔放なジェヒ(キム・ゴウン)と、自分がゲイであることを隠しておびえながら大学生活を送るフンス(ノ・サンヒョン)は、全く正反対の性格だった。
あるときフンスの秘密がクラスメートたちにバレそうになるが、ジェヒが彼のピンチを救う。
二人はルームシェアをしながらかけがえのない学生時代を共に過ごしていくが、二人の友情が試される場面が訪れる。

パク・サンヨンの小説「大都会の愛し方」に収録されている「ジェヒ」を原作に描くヒューマンドラマ。
全く違う性格の男女が学生時代を共に過ごす中で友情を育んでいく。
メガホンを取るのはイ・オニ。
キム・ゴウン、ノ・サンヒョンのほか、チャン・ヘジン、クァク・ドンヨンらがキャストに名を連ねている。

【感想】
自分らしさという呪縛を豪快に吹き飛ばす傑作!

まずストーリー。
孤立感の中生きるゲイ男性と奔放すぎるが故に社会になじめない女性。
大都市ソウルの一角で出会い、互いの時間を共有しながら、
時にぶつかり時に守り合う様子を丁寧に描写。
展開のつなぎもスムーズで物語に推進力があり、
台詞も一つ一つが粒立っていて印象的なフレーズが心に残る。
極めて良質でよく練り込まれた脚本です。

そして演出演技。
主演の二人、その友情の有り様。
自分を見つめル事に必死な青春期から、
社会に溶け込まざる得ない日々の大人の日々、
その中で変化してゆく関係性を機微細やかに表現。
相当に練り込まれた演技プラン。
台詞の一つ一つ、目線の行方まで十二分に意識した演出。
このつばぜり合いが見事なケミストリーを生み、
観客を物語の一員に引き込んでいる=ただの傍観者ではなく自分事に感じさせる事に成功。
ラストシーン、その結論も余韻豊か。
エンタテインメントとしてのメリハリもしっかりインストール。
これまた素晴らしいディレクションでした。

さて。
「自分らしく生きる」、世の中にあふれかえるこのワード。
しかしながらこれほど言うはたやすく行うは難しい事もないように思います。

「自分」と「社会」の摩擦点に悩み苦しみ、自我を解放することに過剰さを感じ躊躇してしまう。
抱えきれない思いはいつしか自らを傷つけてしまい、気づけば取り返しのつかない深みにはまってしまう。

僕もあなたも、誰しもが思い当たるこの事象、
救ってくれるのはいつだってそばにいる存在。
ありのままを受け入れてくれるのはいつだって信じてくれる他者、つまりは友人だったと思うのです。

鑑賞後、なつかしい友人、あの頃の仲間と会いたくなりました。
彼らにとって僕は良き友人であったか、今なら笑って話せる気になりました。

素晴らしい映画体験でした。

【評価・つけるとすれば】
4.5です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2025年06月30日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2025年24本目】映画「サブスタンス」観ました。

【解説・あらすじ】

50歳を超えたかつての人気スター、エリザベス(デミ・ムーア)は容姿の衰えによる仕事の減少に悩まされていた。
そんな状況に危機感を募らせる中、ある新しい再生医療を試すことにする。
彼女の美と若さに対する執着はやがて暴走を始め、狂気と化していく。

容姿の衰えに悩む元人気スターが、美と若さに執着するあまり狂気にとらわれていくホラー。
監督・脚本を務めたのはコラリー・ファルジャ。
再生医療によって若返りを試みる主人公をデミ・ムーアが演じ、
共演にはマーガレット・クアリー、デニス・クエイドらが名を連ねる。
第77回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞するなど各地の映画祭で高い評価を得た。

【感想】
人間の光と影を狂気的な色彩で撮りきった快作。

まずストーリー。
前半から中盤にかけての展開はスピーディー。
ハリウッドを舞台にルッキズムの醜悪さ、
いびつな男性社会の中での女性のいきづらさを軸に、
エリザベスが再生医療にはまっていく様を一気呵成に展開。
見応えもテーマ性も十分、だったのですが、、。
途中からこれまた一気に迫力のホラー展開。
着地点が見えない中進む脚本は賛否が分かれるところでしょう。

そして演出演技。
なんといってもデミムーアの体当たりぶり、振り切りぶり特筆。
よくこの役を受けた、、俳優としての気骨を目の当たりにできます。
もう一人の”主役”マーガレット・クアリーもこれまた目を見張る演技。
丁々発止の演技合戦は見応え十分でした。

ただいかんせんラストにかけてのホラー展開は想像以上に過激、いや過酷、、。
ゴア描写が苦手な人はまず観ていられないでしょうし、ストーリーも役者陣の奮闘も吹き飛ばす勢い。
あまりの展開に最後はもう笑うしかないといった感情になりました。

さて。
日々の生活していれば
ルッキズムに振り回され、
いつの間にか男性社会の暴力性に加担している、
無自覚な日々に思います。
振り返って今作、作品の構成には僕自身賛否を覚えますが、テーマ性には目を向けなければならないのも事実。
ちょっと我慢が必要な作風ですが考えさせられるものもありました。

【評価・つけるとすれば】
3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2025年06月24日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2025年23本目】映画「6人ぼっち」観ました。

【解説・あらすじ】

クラスになじめない高校生の加山糸(野村康太)は、広島への修学旅行の班決めで、
誰とも班を組めずにいたTikTokerの馬場すみれ(三原羽衣)、ガリ勉の新川琴(鈴木美羽)、
自慢屋の五十嵐大輔(松尾潤)、内向的な山田ちえ(中山ひなの)、
不登校の飯島祐太郎(吉田晴登)と同じ班を組まされ、班長を任される。
広島に到着した彼らは、それぞれが行きたい場所を回るにつれて、徐々に仲間意識が芽生えさせていく。

修学旅行を題材にした青春ドラマ。
修学旅行の班で一緒になったくせ者ぞろいの高校生6人が、ゆく先々でトラブルに見舞われながらも絆を育んでいく。
メガホンを取るのは俳優としても活動する宗綱弟。
野村康太、吉田晴登、三原羽衣のほか、松尾潤、鈴木美羽、中山ひなのらが出演する。

【感想】
等身大の青春が目映い。友達の尊さが詰まった良作!

まずストーリー。
内容としては特に目新しくもないのですが、
6人の「ぼっち」ぶりやその背景、おのおのが抱える葛藤、焦燥がシンプルだけど丁寧に描かれています。
わかりやすさ優先の結果、お話に推進力があり、おのおのの群像にも共感できました。
狙い澄ました脚本、好感が持てました。

そして演出演技。
これもあまり奇をてらった所はなく。
ストーリーを丁寧に撮る、に徹していて、変な引っかかりを感じない、なめらかなのどごし。
その分俳優陣のがんばりに目が行く設計。

そしてその俳優陣。
六人六様の背景を等身大で描ききる奮闘ぶり。
決して上手じゃない、ぱっと目を引く感じでもない。
だからこそ光る頑張り。
素直さに心打たれる演技でした。

さて。
思い起こせば若かりし日の光と影。
とりわけ暗を思い起こせば彼らと同じような事も確かにあり。
今になってしまえば、ではあるけれどあの頃は苦しかった、必死だった。
仲間、友人の存在がどれほど助けになったか、
気づける年齢にはなりましたがこれからもきっとそう。
現在進行形の悩みや鬱屈を前向きに見つめ直す機会になったような気がします。

若者の奮闘に感謝!
良い作品でした。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
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by alcyon | 映画観た
2025年06月22日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2025年22本目】映画「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」観ました。

【解説・あらすじ】

ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人居住地区、マサーフェル・ヤッタ。
そこで生まれ育ったパレスチナ人の青年バーセル・アドラーは、
イスラエル軍による占領と破壊が進む故郷の様子を幼いころからカメラに記録し、
世界に発信することでイスラエル軍を止めようとしていた。
そんな彼のもとにイスラエル人ジャーナリストのユヴァル・アブラハームが訪れ、協力する。
彼らがお互いの境遇や思いを語り合って友情を育む一方で、イスラエル軍の破壊行為はエスカレートしていく。

第74回ベルリン国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞とパノラマ部門観客賞を受賞したドキュメンタリー。
イスラエル軍の占領が進む、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区の様子を記録するパレスチナ人青年バーセル・アドラーと、
イスラエル人ジャーナリストのユヴァル・アブラハームが育む友情を見つめる。
アドラーとアブラハームのほか、ハムダーン・バラール、ラヘル・ショールが監督を務める。

【感想】
ガザ侵攻前夜。
現在進行形の「悪意」を精密に写し取ったエピローグなきドキュメンタリー。

まずストーリー。
ドキュメンタリーですので定点的なきっかけや結論ありきではなく、
あくまでもありのままの日々、
パレスチナ人バーセル、イスラエル人ユヴァルの友情と日常と、
暴力に晒される葛藤を撮りきっていくことにすべてが注がれています。
内容的にはヨルダン川西側地区でのイスラエルによる入植問題が中心で、
少し基礎知識がないとわかりにくいかも知れません。

演出、撮影に関して。
あくまでもパレスチナ側での映像記録ですのでイスラエル側の主張、正当性のようなモノは観えてきません。
一方、その分イスラエル軍の暴力が一般市民に及び、弾圧は苛烈で、入植者の行為は侵略以外何者ではない事を確実に捉えています。

さて、この撮影後イスラエルはガザに侵攻、いまや虐殺という蛮行を行っています。
ハマスのテロがきっかけ、と報道には有りますが、以前より世界がこのイスラエルによるパレスチナ画の弾圧を見逃してきたのが大きな原因に感じます。

バーセルとユヴァル。
人と人はたとえ国籍や宗教、互いのバックボーンが違えども心通わせ友人になることができる。
こんな当たり前のことを暴力が引き裂いていく。
輝かしい戦利なんかより最低の平和のほうがずっと素晴らしい、なんて忘却の彼方。

劇中の「パレスチナの自由なくしてイスラエルの平和なし」の叫びが心に響きます。
終わりのみえない情勢ですが、一日一秒でも早く平穏が訪れることを切に願います。

【評価・つけるとすれば】
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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2025年05月27日

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【観た/2025年21本目】映画「教皇選挙」観ました。

【解説・あらすじ】
エドワード・ベルガー監督が、ローマ教皇選挙の舞台裏と内幕に迫ったミステリー。

全世界14億人以上の信徒を誇るキリスト教最大の教派・カトリック教会。
その最高指導者で、バチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった。
新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」に世界中から100人を超える候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂の閉ざされた扉の向こうで極秘の投票がスタートする。
票が割れる中、水面下でさまざまな陰謀、差別、スキャンダルがうごめいていく。
選挙を執り仕切ることとなったローレンス枢機卿は、バチカンを震撼させるある秘密を知ることとなる。

ローレンス枢機卿を名優レイフ・ファインズが演じるほか、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、イザベラ・ロッセリーニらが脇を固める。第
97回アカデミー賞で作品、主演男優、助演女優、脚色など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した。

【感想】
伝統が「世界」を穿つ。
精密な描写で引き込む快作!

まずストーリー。
世界一有名で、かつ謎多き選挙、コンクラーベ。
いったいどうやって取材をし、素材を集めたのか、それ自体がミステリーに感じるほどのリアリティ。
一見複雑に感じる選挙の仕組みをこの上なくわかりやすく提示する序章から、
緊迫の人間模様を緩み無くみせる投票の様子、
そして圧巻の決着まで展開は実にサスペンスフルでスピーディー。
差し込まれるエピソードも多彩。
見事に設計され尽くした脚本です。

そして演出。
まず宗教的な儀式の荘厳さをベースにしつつ、
候補者の人間臭さに大きくスポットを当てる演出。
この割り切りが話をだれさせず、どんどん加速させてゆく。
密室劇特有の息苦しさも物語の重厚感を下支え。

実に綿密な演出プランです。

また、おのおの演技も素晴らしい。
宗教人としての高潔とひとりの人間としての欲望が常に混在する難役を
それぞれがボリューム、ミキシングを変えながらの演技。
いったいどんなメソッドで??
演技合戦としても見所有りです。

惜しむらくは、前述通り「密室劇」ですので、映像が暗暗していて、
バチカンの持つ荘厳さはちょっと割り引き。
衣装の美しさが際立っているのでちょっとちぐはぐな感じもしました。

さて。
宗教、とりわけキリスト教カソリックに疎い僕でも教皇の重要性、世界一有名な人物であることは承知しており。
その選出方法コンクラーベの仕組みくらいは既知では有ったのですが、、。

これほど人間らしさがむき出しで描かれるとは、
スキャンダラスな一面にもこんなに踏み込むとも思っておらず。

先鋭化されていくそれぞれの主張、
伝統と変革、争いと安寧の輪郭の濃さはまさに現代社会の縮図。

特にラスト、その結論。
与えるインパクトは教徒ではない僕でも衝撃的。
他山の石で、どの世界観に所属していても刮目せざる得ないものだと感じました。

劇場の外の世界が今までとは違う鑑賞体験になりました。
実際にコンクラーベが行われたタイミングでもありますが、
時期にかかわらず鑑賞をお勧めできる、普遍的な作品で合ったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
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2025年05月22日

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【観た/2025年18本目】映画「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」観ました。
【解説・あらすじ】

お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介が2020年に発表した恋愛小説「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」を、大九明子監督が映画化。

大学生の小西徹は、思い描いていたキャンパスライフとはほど遠い、冴えない毎日を送っていた。
そんなある日、お団子頭の女子大生・桜田花の凛々しい姿に目を奪われた小西は、思い切って彼女に声をかける。
いろいろな偶然も重なり、またたく間に意気投合する2人。
会話が尽きないなか、「毎日楽しいって思いたい。今日の空が一番好きって思いたい」と桜田が何気なく口にした言葉が、小西の胸を刺す。
その言葉は、小西が大好きだった、いまは亡き祖母の言葉と同じだった。
桜田と出会えたことに喜ぶ小西だったが、そんな矢先にある出来事が2人を襲う。

主人公の小西徹を演じるのは萩原利久。
若手実力派としてブレイクした河合優実が、ヒロインの桜田花に扮した。
2024年・第37回東京国際映画祭コンペティション部門出品。

【感想】
若かりし日々の思い出を再構築。今が殊更に愛おしく感じる珠玉の恋愛映画!

まずストーリー、脚本。
台詞の量がとにかく多く、説明過多ではあるのだけれど、キレとテンポがあり全然冗長にならず。
むしろそのボリュームこそそがストーリにトルクを与え、加速感が増していく。
内容は単なるボーイミーツガールの枠組みに収まらない、喜怒哀楽をフルパッケージしたもの。
既視感を持つ方にはきついだろうな、、と感じる所まで感情に刺さる。
決して軽くない、筋肉質な脚本です。

次に演出演技。
主演の二人、萩原利久さん、河合優実さんは安定かつ繊細な演技。
大学生の行き詰まった感情、不安、目覚めきらない自我のもどかしさ。
始まりつつある恋の行方に一喜一憂する若気の至り。
見事に織り交ぜた演技でした。

そして何よりも伊東蒼さん。
主演二人を圧倒する演技力。
耐えてこらえてそれでもの気持ちを飽和させてしまう超絶長台詞シーンは超圧巻!
誰もが彼女を好きになる事必至!
日本映画、最新の至宝を目撃できます!

さて。
20歳前後の自分を思い起こせば
何をやるにもいっぱいいっぱいで、
どれに手をつけてもいつも中途半端。
本気の努力から逃げ、要領という名の手抜きで日々を消費するだけの毎日。
ときめくことからも逃げていたように思います。

繰り返しますが本作、
ただの恋愛映画にあらず。

真っ正面から人にモノに出来事に向き合う姿勢を試される作品です。

時間を経ながら鑑賞を繰り返す作品に出会えたと感じました。

【評価・つけるとすれば】
4.5です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
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2025年05月21日

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【観た/2025年17本目】映画「新幹線大爆破」観ました。

【解説・あらすじ】

東北新幹線・はやぶさ60号の車掌を務める高市(草なぎ剛)は、定刻通りに新青森から東京へ向けて出発する。
いつもと変わらず準備を整え発車するが、その列車には爆弾が仕掛けられ、犯人から1,000億円の要求があったことを知る。
その爆弾は、列車が時速100キロメートルを下回ると起爆するのだった。
高市ら乗務員と新幹線総合指令所が一丸となって策を講じる一方で、警察も犯人確保に動き出す。

[Netflix作品]1975年公開の『新幹線大爆破』を草なぎ剛主演でリメイクしたサスペンス。
時速100キロメートルを下回ると作動する爆弾を仕掛けられた新幹線の車掌が、
乗務員と乗客、新幹線総合指令所と協力して事件の収束を図る。
メガホンを取るのは樋口真嗣。細田佳央太、のん、要潤のほか、尾野真千子、ピエール瀧、斎藤工らが出演する。

【感想】
国際標準をきっちり超える、国産アクションのお手本!!

まずストーリー。
ハリウッドのSPEEDシリーズの明らかに元になった1975年版の「新幹線大爆発」を大ネタに、
現代に置き換えた脚本はリメイクの資産骨頂、じつに巧み。
司令室の現場のやりとりに緊迫感を持たせ、群像的にキャストの背景を絡ませています。

次に演出。
まずなんといってもアクションシーン。
誰でもが知っている新幹線という乗り物、そのリアリティが素晴らしい。
劇場と化したメディア監視の中で寸分違わず難易度の高すぎる作業を完遂していく。
現場の緊張感が十二分に伝わってくる作劇は流石だと感じました。

そして演技。
日本を代表するキャストをきっちり揃え、各々が脚本上のキャラクターをきっちり精密に演じていく。
この精密さはお話の根幹でもあるので破綻なく、オーバー過ぎず、バランスも良くとれていたように思います。

ただ、個人個人のバックサードストーリーやキャラクター説明は薄く、、、。
政治問題へのコミットメントも含め、せっかくの熱演、賑やかだが散漫に感じるのはもったいない。
もう少し彫り込みがあるか、人数を減らして尺を稼いでおかないととはかんじました。

【評価・つけるとすれば】
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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2025年03月20日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
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【観た/2025年09本目】映画「TATAMI」観ました。

【解説・あらすじ】

世界柔道選手権に出場したイラン代表の女子選手レイラ・ホセイニ(アリアンヌ・マンディ)は順調に勝ち進み、
決勝で旧知の仲でもあるイスラエル代表のシャニ・ラヴィ(リル・カッツ)と対戦する可能性が高まる。
3回戦が始まる直前、監督のマルヤム・ガンバリ(ザール・アミール)にイランの柔道協会から連絡が入り、
マルヤムはレイラを棄権させるように命じられる。

柔道の国際試合で起きた実話をベースに、イラン代表の柔道選手と監督が自国の政府に受けた圧力やそれによる葛藤を描いたヒューマンドラマ。
イスラエル代表選手との対戦を控えた主人公が、政府から棄権を強要される。
監督を務めるのはイラン人俳優のザール・アミールとイスラエル人監督ガイ・ナティーヴ。
アリアンヌ・マンディやジェイミー・レイ・ニューマンなどが出演する。

【感想】
柔道というスポーツと国際政治がしっかりと組み合うサスペンスの快作!

まず脚本、ストーリー。

まず柔道の「大会システム」がわからない人にもすんなり伝わる構成。
その上で「政治の介入」から「誰が選手を護るのか」を深掘りしていく。
さらにはイスラム社会、に限らずはびこるジェンダーギャップの問題なども絡めて進むストーリーは、
スピーディーでトルクも効いていて、サスペンスならではの危うさも満載。
野心的、意欲的な脚本です。

そして演出、演技。

映像としては、何よりも暗めの画作りが特徴的。
集中していないと物語がどんどん進行し、重要な台詞を聞き逃します。
意図的に観客を試合の観客席、物語の当事者に誘う手法。
善し悪しはあると理解しますが、僕には好感度高く感じました。

俳優陣の演技も素晴らしい、、。
リアリティを徹底的に煮詰めて、飽和させる。
スリリングさを嘘くさくさせない。
おそらく相当量のバックグランドストーリー、
個人設定のディテールにもこだわりきった演技プラン。
柔道の試合になぞらえられる気迫を十分に感じることができます。

さて。
物語の核になるのはスポーツにおける政治介入なのですが。
細かく分けると

「国家と個人」
「国家対立」
「政治による国民の分断」

などなど、
現代社会の、そしてイスラム社会に限らない世界の縮図が大きな構図で描かれている今作。

よく調べてみたら実際の事件に基づいてるとのこと。
※2019年8月、日本武道館で行われた世界選手権における、イラン出身の男子柔道選手サイード選手に起こった事件。

画作りからわざと古い出来事のように感じさせられましたが、
実は極めて現代的な事件であることにも驚きと恐怖を感じました。

また、共同監督としてイスラエル人とイラン人が手を組み、
イラン関係のスタッフは撮了後全員亡命、、、。
気迫以上の何かを感じずには要られませんでした。

それにしてもですが、
戦う場所であるはずの、それこそ命がけであるはずの「畳・TATAMI」の上だけが安全だなんて。
このような皮肉が世界にはびこっている、権力のゆがみが個人を苦しめている事に改めて気づかされるのもまた皮肉。

力作にして快作です。
非常におすすめです。

【評価・つけるとすれば】
4.4です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン 宿泊プラン一覧
伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2025年02月27日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2025年08本目】映画「I Like Movies」観ました。

【解説・あらすじ】

カナダの田舎町で暮らす高校生のローレンス(アイザイア・レーティネン)は、映画だけが生きがいで社交性がなく、
周囲の人々とうまく付き合えない。
唯一の友達マット(パーシー・ハインズ・ホワイト)と多くの時間を過ごしながら、
ニューヨーク大学でトッド・ソロンズ監督から映画を学ぶことを夢見るローレンスは、
その学費を貯めようとレンタルビデオ店でアルバイトを始める。
そこで俳優志望だった店長アラナ(ロミーナ・ドゥーゴ)をはじめとするさまざまな人と出会い、
心を通わせていくが、将来への不安からある人物を深く傷つけてしまう。

第47回トロント国際映画祭で上映された青春コメディー。
周囲の人たちとうまく付き合えず、映画だけが生きがいの高校生が、
地元のレンタルビデオ店でアルバイトを始めたことをきっかけに成長を遂げていく。
監督を務めるのはチャンドラー・レヴァック。
アイザイア・レーティネン、ロミーナ・ドゥーゴのほか、
クリスタ・ブリッジス、パーシー・ハインズ・ホワイトらが出演する。

【感想】
「夢で生きていく」、成長痛にも似た葛藤を描ききった青春ストーリー。

まず脚本、ストーリー。

2000年代くらい?まだDVDレンタルの大型店舗がどの街にもあった時代を背景。
周囲とうまく付き合えず、社会性にも欠ける主人公。
失敗や葛藤、挫折、友情の行き違いがちりばめられた脚本は王道の展開ではあります。
引用される映画のタイトルを追うのも面白げだったりもしました。

次に演出演技。
映画に打ち込むというより、逃げ込んでいる主人公の鬱屈した状況が軸。
そこに母親の愛情と苦しさ、
周りの大人の優しさと厳しさ、
友情の脆さ、
などを絡めていく、味の濃さを感じる演出。
台詞もエッジが効いているので序盤はちょっと不快に感じる点もありましたが、
後半、一気に解消。
メリハリも十分効いていたと思います。

さて。
若者が若者でいられる期間は意外と短く、
誰もが皆サニーサイドを歩けるわけでも無く、
そりゃ失敗もすれば葛藤もあるわけで。

自分を変えたいのに。
自分が変われないのは環境のせいだ。
きっと、いつか、自分だって。
といつだって自分軸なのはこれは若者だけにあらずにも思える。

成長し、視座が変わり、物事が見えてくるのは
きっとあの日があったから。

きつく、つらく感じていた時期をちょっと思い出しました。

コメディではあるのですが
夢に躓いたすべての人に捧げる成長の物語でも合ったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た

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