こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
【観た/2025年30本目】映画「でっちあげ」観ました。
【解説・あらすじ】
2003年。
小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)は、児童・氷室拓翔(三浦綺羅)にいじめ同然の体罰を行ったとして彼の母親・律子(柴咲コウ)から告発される。
その情報をかぎつけた週刊誌記者・鳴海三千彦(亀梨和也)が実名報道に踏み切り、記事の過激な内容に世間は騒然とする。
史上最悪の殺人教師と呼ばれメディアの標的となった誠一は、誹謗中傷や裏切り、停職処分などによって日常が崩壊し、絶望に押しつぶされていく。
一方で律子を支持する声は多く、550人もの大弁護団が結成され民事裁判へと発展する。2003年に教師による児童へのいじめが認定された体罰事件の真相を追った福田ますみのルポルタージュを映画化。
児童への体罰を行ったとして告発された小学校教諭が、メディアの過熱報道などによって追い詰められていく。監督は三池崇史、脚本は森ハヤシが担当。
殺人教師に仕立て上げられる小学校教諭を綾野剛が演じ柴咲コウ、
亀梨和也のほか、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫らが共演する。
【感想】
真実を「疑う」ことの難しさ。。
これは事実に基づく「あなた」の、「僕」の物語。
まずはストーリー、脚本。
なんといってもキャラクターの描写が緻密。
前半から思いのほか長く続くいやな感じの表現、台詞少なめにト書きだけでグイグイ引き込む。
あからさまな伏線も回収を意図的に曖昧にしている所があり、物語に嵌まる設計になっています。
法廷劇もわかりやすさ、ボリュームなどへの気遣いと、ドラマティックな展開を兼ね揃えていて、
これもまた多弁になりがちな所をきっちり抑え、緊張感を終始キープ。
実話ベースもの、中だるみを心配していたのですが、余計なお世話でした。
続いて演出、俳優陣。
まず演出、ケレン味なく、過不足なく、重みとスピード感をキープする三池監督のプランが当たり!
裁判シーン一つとっても、実際の事実関係や証拠証言、時間の流れなどは膨大かつ長大。
どれを選び、どれを棄てるのか、その結果物語の事実性は担保できるのか。
そもそも2時間弱というしゃくに収まるのか。
相当な難題だと思うのですが監督のクラフトマンシップが見事にクリア。
流石です!
俳優陣も見事な演技。
主演、綾野剛さんの前半後半の演じ分け。
その振り幅の大きさは役柄の中で本来の人間性を封ずるかのよう。。
人の姿を借りて人を演じる、演技のお手本でした。
対する柴咲コウさんの不気味さ。
これもまた演技を作り込み、実際にはいなさそうな人物像を表現しています。
これもまた難易度の高い演技だったと感じます。
脇を固める
小林薫さんのにじみ出る人の良さ。
光石研さんの日和見感。
亀梨和也さんのイヤーな感じ。
そしてなにより、
木村文乃さんの強さと優しさ。
ラストシーンにかけての彼女の本のひと台詞、日常の言葉に僕は涙腺が決壊しました。..
強いて言うなら、
裁判後の描写、特にマスコミの報道の有様の描写がほとんどなく、、、。
事件の本丸、とも言える部分でしたので非常に残念。
尺が延びてもいいから綾野さんと亀梨さんの相対するシーンを加えるべきでした。
さて。
何を信じるか。
何を疑うか。
何を正義と呼ぶか。
何を悪と断じるか。
実際の事件が起きた2003年よりも今はSNSしかり、
情報が処理しきれないボリュームであふれかえる世の中です。
100人中99人が応援する、正しいと「思われている」事柄や人を、
果たしてただ一人で疑えるか、声を出せるか。
正直僕には難しいです。
真実を追究する。
正義を全うする。
ラストワンでも諦めない人がいる。
尊敬、畏敬といった言葉では表しきれない感情を持つことので生きた作品でした。
【評価・つけるとすれば】
4.1です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
もちろん「オススメ☆」です♪
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