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アルシオン通信

Alcyon Blog

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2024年10月11日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年70本目】映画「ベイビーわるきゅーれ・ナイスデイズ」観ました。

高石あかりと伊澤彩織が演じる殺し屋コンビの活躍を描いたガールズアクションシリーズの第3弾。
任務のため宮崎県にやって来た二人が、同じターゲットを狙う一匹狼の殺し屋によって窮地に追い込まれる。
監督を阪元裕吾、アクション監督を園村健介が務める。

プロの殺し屋コンビである杉本ちさと(高石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)は、宮崎県で一つ目のミッションを終わらせ、バカンスを楽しんでいた。
ちさとはその日がまひろの誕生日であることに気付くが、次の任務のために宮崎県庁へ向かう。
しかしそこには、これまでに149人を殺害し、150人目として彼女たちと同じターゲットを狙う殺し屋がいた。

【感想】
まだまだ、まだまだ、もっといける!
ガールズアクションの頂ここにあり!

まずストーリー、脚本。
二人の絶妙に緩い会話劇の要素はそのまま。
プラス俳優陣が増え、トルクが強くなった分も力み無く加速。
宮崎でバカンスついでにミッションをする、という設定も丁度良い塩梅。
味のある嫌味も健在の詞回し含め、完成度の高いストーリー、脚本です。

次に演出、演技。
ちさまひコンビの緩急の付け方は流石の一言。
予想の遙か下を行く生活のだらだら感、予想の遙か上を行く執行のスピード。
さらにさらに池松壮亮さんの登場、ラスボス感は映画に重みをつけています。
アクションの手数、技の多彩さは「軽量級」ならでは。
瞬き不要で楽しめました。

さて。
今回は意外とアクション以外のシーンも作り込まれていて。
キャラクターそれぞれの

苦悩や孤独、
コミニケーションの難しさ、
仕事への思い

これは殺し屋以外の職業、日々にも意外と共通だなと感じさせられたりもしました。

いずれにせよ
相当に練り込まれたアクション映画。
もっと観たい!!と思えるシリーズでした。

【評価・つけるとすれば】
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年10月09日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年69本目】映画「侍タイムスリッパー」観ました。

現代にタイムスリップした武士の姿を描くSF時代劇。
落雷に打たれて現代の時代劇撮影所にタイムスリップした会津藩士が、剣の腕を生かして斬られ役で生計を立てる。
メガホンを取るのは安田淳一。
山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうののほか、峰蘭太郎、紅萬子、福田善晴らが出演する。

幕末の京都。
剣豪として鳴らす会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也)は、
ある長州藩士を襲撃するように命じられて刃を交えるが、その瞬間に落雷に打たれて気を失う。
目を覚ますと、新左衛門は現代の時代劇撮影所にいた。
混乱しながら行く先々で騒動を起こし、江戸幕府が140年前に滅んだことを知ってが愕然とした新左衛門はこの時代で生きることを決意する。
自分には剣の腕しかないと、新左衛門は時代劇撮影所の門をたたき、斬られ役として身を立てていく。

【感想】
正直に死ぬか、卑屈に生きるか。
時代が時代を斬る、見事な時代劇!

まずは脚本、ストーリー。
とにもかくにも設定が絶妙!!
タイムスリップものはもう完全に使い古されていて、新しさは難しいと思っていたのですが、、。
そこにあえての時代劇設定。
古さに古さをかぶせるという手法は完全に発明。
これには感服しました。
また、過去=江戸時代と現代=時代劇が廃れゆく日々の対比を台詞の軽妙さも必見。
非常によくできた脚本、ストーリーです。

そして演出、演技。

時代劇シーンの殺陣シーンは実に練り込まれていて、観ていてハラハラするほど本格派。
カメラワークも含め、素晴らしいアクションシーンがてんこ盛りです。
さらには会話劇としてのシーンも見所多く。
少しづつ主人公が現代に溶け込んでいく様子や、
周囲の人々の優しさ溢れる台詞回し。
敢えてなんでしょうが敵役も含め悪人なし設定が生きる演出。
これもまたすばらしい発明でした。

気になったのは、一点だけ。
劇場の調整なのか、それとも原盤の問題なのかわかりませんが、
音が大きい、、。
もしかすると昔の時代劇のアテレコ風にしたかったのかも?しれませんが
これはちょっと聞きにくく、新設とは言いがいかなと思いました。

さて。
僕は会津生まれ。
実直に生きることをまるで使命のように教え込まれるお土地柄。
ならぬものはならぬ、で生きていたつもりでしたが、、、。

いつのまにか

嘘もつくし、
裏もかくし、
手も抜くし、
悪口も言う。

暑ければ日陰を歩き
寒ければ他人を風よけに

とても正直だったり、実直だったりとは遠い有様。

ただ、遠いんですがそれなりに幸せな日々でもあるわけです。

難しいな、、。
生き易さを巡る問いは難しいな。
と感じる次第。

実直さを見失うほどに廃れた気持ちに、
いやいやすてたもんじゃ無いと感じさせてくれる、
現代を優しく斬った時代劇。

映画愛、人間愛に溢れた今年の代表作だと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.4です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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伊東のホテル|伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオン
by alcyon | 映画観た
2024年09月25日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年66本目】映画「ありふれた教室」観ました。

ある中学校で発生した盗難事件が予想もつかない事態を引き起こし、学内の秩序が崩壊していくサスペンス。
新任の若手教師が盗難の嫌疑をかけられた生徒を守ろうとするも、生徒や同僚らとの対立を招いて追い詰められていく。
イルケル・チャタクがメガホンを取り、レオニー・ベネシュが主人公を演じる。
第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたほか、数々の映画賞で高い評価を得た。

赴任先の中学校で1年生のクラスを受け持つことになった若手教師・カーラ(レオニー・ベネシュ)。
同僚や生徒の信頼を得ていく中、校内で盗難事件が続発し、彼女の教え子が犯人として疑われる。
校長らの調査に反発したカーラは独自に犯人捜しを始め、ひそかに職員室の様子を撮影した映像に、ある人物の犯行の瞬間を見つける。
しかし盗難事件を巡る彼女や学校側の対応はうわさとなって広まり、
保護者の批判や生徒の反発、同僚教師との対立を招き、カーラは窮地に追い込まれる。

【感想】
良心、使命感、理性。
どれもがありふれている「秩序のあやうさ」を見事にパッケージングした快作。

まずストーリー、脚本。
小さな、ありふれている、ただし見逃してはいられない「事件」。
この着想が実に白眉。
落としたインクが不規則に水面を汚してゆくように、じわりじわりと進行する。
徐々にテンポを上げて最後、加速の限界を振り切るような展開。
よくある、それこそ「ありふれた」話の領域をしっかり越える脚本でした。

そして演出、演技。
これもまた絶妙。
大人の事情を子供っぽく、子供の小狡さを大人っぽく。
これもまた「ありふれてない」、
いったい何を観ているのか、ざらついた違和感を感じました。
俳優陣、子役陣も躍動。
テンションの上げ方、不穏な空気のだし加減等々、精密な演技。
この精密さがラストにかけての濃密さを支えきっています。

さて。
小さな、
それでいて目をつぶることはできない事件、
言葉を換えれば「悪の種」はこの社会で生きていれば毎日のように出会ってしまう。
その種が発芽し根を生やせばあっという間に悪意の根は伸び、事態は大きな花を咲かせてしまう。

どこで間違ったのか、
適切な方法は無かったのか。

振り返った所で後の祭り。

破綻後の処理に右往左往しているのが昨日で今日で明日、
つまりは日々の生活なのだと思い知らされる。

行き詰まった社会正義、秩序の行方を見事に捉えた秀作だったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.0です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2024年09月24日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年65本目】映画「愛に乱暴」観ました。

吉田修一の小説「愛に乱暴」を実写化したサスペンスドラマ。
威圧感がある義母や自分に無関心な夫への不満を振り払うかのように丁寧な暮らしを送ることに固執する女性に、不穏な事態が次々と降り掛かる。
江口のりこ、小泉孝太郎、馬場ふみかのほか、風吹ジュン、水間ロン、青木柚らが出演する。

夫の実家の敷地内にある離れで暮らす桃子(江口のりこ)は、センスのある装い、手の込んだ献立などにこだわる丁寧な暮らしを心がけていた。
それは、何かと小さなストレスをぶつけてくる義母や自分に無関心な夫に対する不満の裏返しでもあった。
そんな中、近隣のゴミ捨て場での不審火、愛猫の失踪、夫の不倫を匂わせるアカウントなど、桃子の周囲で不穏な出来事が続発する。

【感想】
丁寧で規則正しい生活を支えているのは、闇深き感情なのか、、、。
人間の性根を暴き出す怪作サスペンス。

まずストーリー、脚本。

主要キャストのもつキャラクターイメージに合わせた台詞廻し。
生活空間に描写を固定する。
会話劇としてはやや多めの台詞量なれど、冗長過ぎず。
といった感じで、こなれた脚本、言葉が入って気易い安心設計です。

次に演出演技。
江口のりこさん、感情のオンとオフをきっちりつけながら物語を牽引。
これは圧巻でした。
脇を固める俳優陣もきっちりしっかり、そつの無い演技。
物語自体もテーマ通り、
ストレスフルなシーンを丁寧に積み重ね、飽和させる。
これも見事。

ただ
圧巻で見事、なんですが。
どのシーンもどこかで見たことのあるシーンに観えてしまう。。。
どの台詞も聞いたことがある。。。
俳優陣に当て書きをしたような「ぴったりさ」が逆にこぢんまりした印象になってしまったように感じます。

さて。
生活の中でストレスレスに生きていくのはもはや不可避。
いつだってざらついたような感情の中暮らしている。
どこに導火線があるのかわからないし、
いつ沸点に達するのかも知らない。
すさんだ心をなんとかやり過ごして、生きていくので精一杯。

「整理された生活」は闇深き性根に当たる陽光なのかと思うと、薄ら寒くなりました。

この映画、やっぱりサスペンスなのだと思います。

【評価・つけるとすれば】
3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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2024年09月17日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年64本目】映画「きみの色」観ました。

山田尚子が監督を務めた長編アニメーション。
不思議な能力を持つ少女が、3人でバンドを組んで過ごす日々を映し出す。
吉田玲子が脚本を担当し、牛尾憲輔が音楽を手掛けている。

ミッションスクールに通う高校生のトツ子は、幼いころから人が色として見えている。
ある日、古書店でとても美しい色を持つ美少女、
そして音楽好きの少年と出会ったトツ子は、彼らとバンドを組む。

【感想】
「誰か」と「何か」を全力で。大人になってしまった僕らに贈る純度高めのジュブナイル。

まずストーリー、脚本。
ややオールドスクールにすら感じる舞台設定。
冷たい感情を抑え、飲み頃の紅茶のような温度感の言葉を紡ぐ、振り幅をあえて小さくした脚本。
この「狭さ」を巧みに活かし、台詞の一つ一つを粒立たせる。
台詞の数も多くも少なくもなく、自然。
素晴らしい脚本、こういうことだと感じさせてくれます。

そして演出、演技。

まずは見事な作画。
「人が色で見える」という設定自体相当難易度が高いと思うのですが、まさに「観える」。
そしてそしてどのシーンも美しく、優しい。
観客の気持ちを柔らかにすることに徹底しています。

次に演技。
若者が「好き」に触れたときの純粋さをこれまた見事に表現。
確実に、あの頃に、引き戻されます。

ただ、

高校生のもつ大人と子供の中間のような危うさだったり、
みえない将来への葛藤だったり、

は、
おそらく意図的に外してあり、
柔らかめのうどんを噛んだような、少し物足りなく感じました。

さて。
思えばあの日。

例えば部活、
例えば勉強
例えば恋

夢中になって
全力で好きの回路を全開にして
本気になってることにすら気づかず、
転ぶことも恐れず、走りまくっていた
あの日。

忘れていたわけではないが
薄れていくし、
大人という単語がボリュームを下げる、
それがこの日。

諦観、冷笑になれてしまうことを成長と勘違いしないか。
強い問い掛けを受けたような気がします。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2024年09月10日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年63本目】映画「箱男」観ました。

映画化もされた「砂の女」などで知られる安部公房が1973年に発表した小説を石井岳龍監督が映画化。
段ボール箱をかぶって都市をさまよいながら世界を観察する「箱男」を巡るストーリーが展開される。
永瀬正敏と浅野忠信、白本彩奈、佐藤浩市のほか、渋川清彦、中村優子、川瀬陽太らが出演。
第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に出品された。

ダンボール箱をかぶって都市をさまよい、のぞき窓から外の世界を見つめ、ノートに妄想を記す「箱男」。
カメラマンの「わたし」(永瀬正敏)は街で見かけた箱男に心を奪われ、自分もダンボール箱をかぶってのぞき窓を開け、箱男になろうとする。
しかし本物を目指す道は険しく、「わたし」をつけ狙い箱男の存在を乗っ取ろうとするニセ医者(浅野忠信)や、
わたしを誘惑する謎の女・葉子(白本彩奈)などが現れる。

【感想】
孤独、孤立が描き出すもの、それは世界の本質か、それとも。

まずストーリー。
独特すぎる設定を、言葉数をあえて減らさず、多弁雄弁に脚本にインストール。
これだけでもかなりの難作業、、。
よくぞここまで、と感じます。

次に演出、映像。
これはクラシックとパンクが入り乱れる、独特な演出であり作画。
リズムとスピードが破綻するターンと、ゆったりとした台詞廻しのターンが繰り返され、
次第に観客を困惑の世界へ導く作り。
これは安部公房の作家性の再現としては見事なチャレンジだったのではと感じます。

ただ、
やはりあまりに多弁な台詞回し、
変調しすぎる映像のリズム、
そもそも「箱」がダンボールの割に丈夫すぎる、、

など、基本的に入り込みにくい要素が多く、
「ぬぬぬぬぬう、、、難しいなこりゃ、、」
と感じたことも否めませんでした。

さて。

「完璧な孤独、完璧な孤立」

とは公房の描いた日々から今日を見事に言い当てたビックワード。

僕、僕らは
今この瞬間も孤立し、
自分を護る脆弱な箱の中で
小さい窓から世界をのぞき込んでいる。

箱の中からは自分の見たいものしか見えず、
匿名性は実に便利で自分の滑稽さを自分自身に気づかせない。

世界の普遍と人間性の不変を言い当てた作品、
恐るべきものを観てしまった感は強く残りました。

【評価・つけるとすれば】
3.6です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
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☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
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2024年07月15日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2024年46本目】映画「ルックバック」観ました。

藤本タツキによるコミックを原作とする青春アニメ。
小学4年生の少女が、漫画好きという共通点を持つ不登校の少女と共に漫画制作に邁進するも、やがて衝撃的な出来事が起こる。
二人の少女の声を俳優の河合優実と吉田美月喜が担当。
監督押山清高が務め、アニメーション制作をスタジオドリアンが手掛ける。

小学4年生の藤野は学生新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメートから絶賛されていた。
ある日、藤野は先生から不登校の京本が手掛けた4コマ漫画を学生新聞に載せたいと告げられる。
そのことを機に藤野と京本は親しくなっていくが、やがて成長した二人に、全てを打ち砕く出来事が起こる。

【感想】
こんなにも、こんなにも。終わらない青春、その純度に心抉られる、この夏最高の映画体験!!。

まずストーリー。
とりあえず原作を予習して劇場へ。
漫画の持つスピード感、ぎゅっと煮詰まった濃密さをどのように?
と心配が先行していたのですがまあったくの杞憂。
あの藤野が、あの京本が動き出す。
それだけでもう、エモーションは最高潮に。
原作を愛していることがまっとうに伝わる脚本とはこのこと。
脚色も愛しているからこそ。
純度の高い「リスペクト」を感じることができます。

そして作画、演出。
まず、特筆すべきはその上映時間。
55分。
この短さにすべてを賭ける潔さ。
原作の密度を絶対に薄めない覚悟。
マーケティングを考えれば、致命傷になりかねない決断を、あえて選択。
本当は存在した膨大な時間、目から血がにじむような努力の時間を観客の想像に委ねる。
制作陣にはよくぞ僕を、僕ら観客を信頼してくれた。
劇場が確実に一つになる演出、素晴らしい以外の言葉が見つからないです。

さて。

創作への初期衝動、
天才との出会い、
その天才の努力。
立ちはだかる壁。
芽生える友情。
突然の幕切れ。

どれもこれもが形こそ違え思い当たること事ばかり。

振り向くことになれて。
前を向くことに戸惑うようになって。

ルックバック。
ドントルックバック。

昔を懐かしむような気持ちで観ていた映画が、
いつの間にか今の現実を穿つものに。

諦めてしまったものは沢山あるけれど、
諦め切れてないもの、あるよね。

まっすぐにペン先を突きつけられたような感覚になりました。

今を生きるすべての大人に。
心からおすすめです!

【評価・つけるとすれば】
4.6です。

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2024年07月05日

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kazu_R

【観た/2024年44本目】映画「人間の境界」観ました。

ポーランドとベラルーシの国境を舞台に、難民家族の運命を描くヒューマンドラマ。
2021年9月、ポーランド政府がベラルーシとの国境付近に非常事態宣言を発令し、
ジャーナリストや医師、人道支援団体らの立ち入りまで禁止される中で、
入国を拒否された難民たちが生命の危機にさらされる。
監督などを務めるのはアグニェシュカ・ホランド。
ジャラル・アルタウィル、マヤ・オスタシェフスカらがキャストに名を連ねる。

幼い子供を連れたあるシリア人家族は、ベラルーシを経由してポーランド国境を越えれば、
ヨーロッパに入ることができるという情報を信じて祖国を脱出する。
しかし亡命を求めてポーランド国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した国境警備隊だった。
一家は国境警備隊に非人道的な扱いを受けてベラルーシへと送り返され、
さらにベラルーシではポーランドに向けて再び強制移送される。

【感想】
創作物が描き出す、紛れもない「真実」。
目をそらしてよいわけがない希望無き現実を撮りきった力作!

まずストーリー。
これは、まるでドキュメンタリーかと見紛うほど。
しつこく、綿密に取材を重ねたであろう事は疑う余地のない脚本、設定。
監督の執念はすさまじく、完全に圧倒されました。

そして演出、演技。
これもまた容赦なし。
シリア難民家族、ポーランド国境警備隊の青年、人権活動家、それに賛同する精神科医。
大きくは4つの視点から難民問題を取り扱っているのですが、一つ一つの視点が本当に鋭利な刃物。
観客の心の負荷を度外視し、現実を作り上げる事に尽くす、
これもまた執念を感じる作劇です。

強いて言えば
・やっぱり観ていて負荷が大きい、容赦なさ過ぎる
・登場人物が多すぎて整理が追いつかない
点はありましたが、まあ本当に強いて言えばの範囲です。

さて。
難民問題。
これは人権はおろか生命の問題であるのにもかかわらず、
人によって温度差のあるテーマ。
隣近所では無いことに心を割くのはなかなかに難しいのはもちろん承知。

それでも今日この瞬間に

シリアで
レバノンで
ビルまで
ダルフールで

世界中のどこかで受け入れられなかった人たちが死んでいく。
幼きものの未来が無為に失われていく。

それぞれの立場があろうともやはり目を向け無ければならない。
苦しくても目をそらしてはならない。

ラストシーン、あの光景、冗談のようなあの台詞。
僕には「別の問題」とはどうしても思えない。

これほど「観ない理由が見つからない」映画も近年なかったように感じます。

【評価・つけるとすれば】
4.4です。

ちなみに
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2024年07月04日

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【観た/2024年43本目】映画「かくしごと」観ました。

親子と偽って少年と暮らす女性の姿を描く、小説家・北國浩二の原作を映画化したミステリードラマ。
事故で記憶を失った少年と出会った女性が、虐待を受けている疑いのある彼を守ろうと、母親と偽って一緒に暮らし始める。
監督を務めるのは関根光才。
杏、中須翔真、佐津川愛美のほか、酒向芳、安藤政信、奥田瑛二らが出演する。

絵本作家の千紗子(杏)は、認知症を患う父・孝蔵(奥田瑛二)を介護するために帰郷する。
長年絶縁状態にあった父親との同居にへきえきしていた千紗子は、
あるとき事故で記憶を失ってしまった少年(中須翔真)を助け、彼の体に虐待を受けた痕を見つける。
千紗子は少年を守ろうと考え、自分が母親だとうそをつき、少年と暮らし始める。
千紗子と少年、認知症が進行する孝蔵は次第に心を通わせるようになるが、その幸せな生活に終わりが訪れる。

【感想】
この嘘を、この愛を果たして断罪できるものなのか。
「社会の仕組み」の非情さに一石を投じる意欲作。

まずストーリー。
父と娘、母と息子という二重の親子関係を序盤で比較的わかりやすく、さっと説明。
この部分が抜群に効いているので、その後に起こるやや荒唐無稽な展開もすんなり飲み込める。
すんなり飲み込めるので、キャストの台詞や心情がこれまたわかりやすく、ダイレクトに響く設計。
原作は未読なのですが世界観はきっちり抑えていたのではと想像します。

次に演出や演技。
まず綿密なロケハンを行ったことは明らか、「あの場所」を探し出したことに感服。
さらにしっかりとしたキャスティング。
主演の杏さんのしっかりとした母性を感じる演技もさることながら、
奥田瑛二さんの役に殉じるかのようなインテンシティの高い演技、
中須翔真さんの子供ならではの生命力を感じる演技、
と見所を混雑させること無くすっきりと撮りきっているのは、流石、たしかな監督の手腕を感じます。

ただ、あえて言えば、、
杏さんの苦悩、狂気みたいなものがもう少し踏み込んでもよかったかも。
奥田さんにとってもチャレンジングな役作り、その分やや過剰。
には感じました。

さて。
お話は荒唐無稽で現実にはあり得ない。
千沙子の行動にも突飛な所を感じてしまうし、
冷静な大人ならやらないことばかり。

それでも尚、鑑賞して感じたのは、
「この過ちを責める事が果たして善良と言えるのか」
という自分への問い掛けでした。

世の中には「あの子」のような環境は実際にごまんと存在し、
意外と身近な所でも見聞きする。
他人事と割り切ってしまえば、「制度」に落とし込めばよいとも思ってしまう。
そしていつしか制度自体を疑わず、社会のゆがみから目をそらし、注ぐべき愛情を忘れてしまう。

ラストシーン。
少年の言葉、まなざし。

許される社会、
もっと優しい世の中を作ってこなかった大人として、
申し訳ない、苦しい気持ちになりました。

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3.9です。

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2024年06月26日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
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【観た/2024年42本目】映画「あんのこと」観ました。

入江悠監督が、世界的パンデミックが起きた2020年のある日の新聞記事に着想を得て撮り上げた人間ドラマ。
機能不全の家庭に育ちすさんだ生活を送る少女が、ある出会いをきっかけに生きる希望を見いだそうとする中、非情な現実に翻弄される。
どん底の境遇から抜け出そうともがく主人公を『少女は卒業しない』などの河合優実が演じ、
共演には『さがす』などの佐藤二朗、『正欲』などの稲垣吾郎らが名を連ねる。

ホステスの母親、足が不自由な祖母と暮らす香川杏(河合優実)は幼いころから虐待を受けて育ち、若くして売春に手を染め、さらに違法薬物の常習者になってしまう。
ある日人情深い刑事・多々羅(佐藤二朗)に補導されたことをきっかけに、更生の道を歩み出す。
さらに多々羅の友人である記者・桐野(稲垣吾郎)らの助けを借りながら、杏は新たな仕事や住まいを探し始める。
そうしてかすかな希望をつかみかけた矢先、世界的パンデミックによって事態が一変する。

【感想】
ゆがみきった世界の果て、わずかな希望のさらにその先。
観なくてよいものなのか、世界に問う意欲作。

まずストーリー、脚本。
これは「事実に着想」とのこと。
綿密に取材を重ねたことがよくわかる展開。
目を背けたくても背けられない、映画館という空間を十分意識した手加減のなさ。
かなり踏み込んだストーリー設計は制作陣の覚悟を感じます。

次に演出演技。
まずは主演の河合優実さん。
ライジングスターの輝き。
無理に社会に放り込まれた少女の幼さ、無防備さを正確に表現。
緻密な役作りはちょっと狂気のようなものさえ感じます。
佐藤二朗さん、怪演。
コミカルな役より、今回のような役どころの方が本筋なんでしょう。
上手いし、等身大に見えるし、言うことなしです。
一方、稲垣吾郎さんは二人に挟まれると役どころが定まらずやや窮屈に感じました。

概ねよくできてる映画なのですが、残念だったのは2点。
・よくできすぎていて、実話ベースとはいえ、荒唐無稽に感じる展開があった。
・ところどころ描写のエッジが鈍く感じる所があり、じゃあそのシーンはいらないのでは?と感じる点も。
以上は多少の違和感を感じながらの鑑賞になりました。

さて。
朝起きて、仕事して、夕方テレビをつければ悲惨なニュースと、それをかき消さんばかりのバラエティに溢れた、この世界。
見ないふりをしていれば、見たいものだけ見ていれば、過ぎてゆく日々。
負荷をかけずに生きていくための処方箋ではあるのですが、不意に訪れる重い気持ち。
気づいている、ホントは同じ世界の出来事だと。
あんのような少女はきっとまれでは無く、あんの母親は数え切れないほど実在している。
それは隣の誰かかもしれないし、もしかしたら自分だったかもしれない。。。

社会にコミットする上で、このことを忘れるなという強いメッセージを感じました。
気持ちのよい終わり方の映画ではありませんがおすすめしたいと思います。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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