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アルシオン通信

Alcyon Blog

2023年07月 の投稿
2023年07月30日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年46本目】映画「はりぼて」観ました。

【解説・あらすじ】

2016年8月、ローカル局のチューリップテレビが「自民党会派の富山市議 政務活動費事実と異なる報告」というスクープを報道したことにより、およそ半年で14人の市議会議員が辞職した。
富山市議会は政務活動費の使い方についての厳しい条例を制定するが、議員たちは不正が発覚しても開き直って辞職せず、居座るようになってしまっていた。

解説: 14人の富山市議会議員が辞職に追い込まれた政務活動費不正使用問題のその後を取材し、人間の狡猾さなどをあぶり出したドキュメンタリー。
「政務活動費を巡る調査報道」によって2017年度の日本記者クラブ賞特別賞などを受賞したローカル局のチューリップテレビがさらに3年の取材を続け、
なおも続く議会の腐敗や開き直る議員たちの様子をとらえる。
監督を務めるのは、五百旗頭幸男と砂沢智史。

【感想】
社会の木鐸、第四の権力。マスコミ、報道ははたして機能するのかを厳しく問いただす意欲作。

かなり攻め込んだソリッドな内容。
そのまま時系列に並べたらおそらくいたたまれなくて観ていられないところ、あえてのコミカルなタッチ。
これが非常にアイロニーの効いた「表現」の域にまでたどり着いています。

緻密で地道な取材にも頭が下がります。
想像するに難くない膨大な書類を丁寧に、余すところなく、重箱のスミ以上のミクロなレヴェルまで追っていく。
「執念」とはまさにこのことだし、ここまでやっての報道なのだと強い意志を感じさせてくれました。

身内の忖度すら手加減なく写し切っていることにも好感がもてました。
ドキュメンタリーとはいえカットもできたはず。
凄まじい覚悟、よくぞここまで、です。

さてさて。
振り返るに、どうしても考えてしまうのは「地方自治」という美しいお題目。

身の回りにしか関心の持てない市民。
優秀な人材を活かしきれない忖度だらけの行政。
もはや名誉職、人生すごろく最後のマス目と成り下がった政治=議員職。

すべてがそうとまでは言いませんが、既視感ありあり、とても題材となった富山市だけの問題と思えるわけもなく。

いかに声を上げるか。
いかに伝えるか。

劣化したと揶揄されるマスコミ当事者の、
いい意味での諦めの悪さ、
まだ終わっちゃいない感を強く感じました。

こんな作品が世に出るのなら、まだなにかに期待しても良い。
そう思わせてくれる良作であったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年07月27日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年45本目】映画「アートのお値段」観ました。

【解説・あらすじ】

世界的に有名なサザビーズのオークションを6週間後に控え、アート業界はいつにも増して騒がしくなる。
現代アート作品の値段は上がり、評論家はバブルのような状況を嘆く。
一方アーティストたちは、創作と評価の間で葛藤していた。

ナサニエル・カーンが監督を務めた、アート市場の実態に踏み込んだドキュメンタリー。
アーティストやコレクター、美術商、評論家らの意見からアートとお金の関係を探ると同時に、アートの価値とは何かを問う。
自身の作品が9,000万ドルを超える額で落札されたジェフ・クーンズをはじめ、ラリー・プーンズら芸術家たちが出演する。

【感想】
モノの価値を如何に測るか。
芸術と金の関係をあからさまに追うドキュメンタリー。

構成としては現代アートの値段の決め方であるオークションシステムを中心に丁寧に追っています。
美しいアートの数々も見どころ。眼福だし、よくここまで沢山の作品を扱えたなと感服しました。

その上で収蔵の問題や、所有権の有り様、美術館の存在意義といった美術を取り巻く構造に深くコミットしているのは感じ取れました。
一方、アートそのものの尺度としてのカネの問題、その正しさのようなものへの焦点の当て方はとても曖昧。
あえてなのでしょうがすこしもやもやするものが残ったように思います。

さてさて。
僕はアートには疎く、それほど多くの作品に触れたことがあるわけでもないですが、
それでも好きな作品があったりはしているわけです。
本物がほしいとまでは、、ですがレプリカだったり、ギフトっぽいものだったりが身近にあったらいいなと思うのも確か。
現在のシステムだとエンドユーザーレヴェルですら気軽なプライスではなく、
そもそも美術館で鑑賞できる作品が少なくなっていくことへの不安が拭えない。
価値の適正化の難しさを提示した作品だったとは感じました。

【評価・つけるとすれば】
3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪
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by alcyon | 映画観た
2023年07月23日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年44本目】映画「怪物」観ました。

【解説・あらすじ】

息子を愛するシングルマザーや生徒思いの教師、元気な子供たちなどが暮らす、大きな湖のある郊外の町。
どこにでもあるような子供同士のけんかが、互いの主張の食い違いから周囲を巻き込み、メディアで取り上げられる。
そしてある嵐の朝、子供たちが突然姿を消してしまう。

是枝裕和が監督を務め、脚本を坂元裕二、音楽を坂本龍一が担当したサスペンス。
けんかをした子供たちの食い違う主張をきっかけに、社会やメディアを巻き込む騒動が起こる。
安藤サクラや永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、田中裕子などが出演する。

【感想】
旧態依然とした、リノベーションされない社会を鮮やかに嘲笑う、新しきジュブナイル映画!

まず脚本、ストーリー。
これはまさしく、This is “坂本裕二”!!!!
セリフのワードチョイスも素晴らしいのですが。
なにより3部構成にした意味の持たせ方、
一つ一つのプロットの書き込み、
そしてなにより「これは是枝作品である」ということを意識したプロフェッショナルなバランス感覚、引き算。
普段は自分で脚本を書くことが多い是枝監督作品ですが、あえて脚本家を迎える、これは当たりでしょう。

そして演技や演出。

安藤サクラを筆頭に「大物」揃いの本作。
おそらく演技プラン、特に佇まいのような静的なアプローチは本人任せの部分も多かったのではと想像します。
二面性が全員に求められる中、永山瑛太も田中裕子ももうこの人しかいなかっただろうという、
非常にフィット感のあるキャスティングも素晴らしい。
そしてこの日本映画フル代表をあっさり超えてくる、子役二人。
言葉の一つ一つ、目線の泳がせ方、歩く歩幅、自転車のスピードに至るまで、
瑞々しさ、粒立ち、申し分なさすぎ。
末恐ろしいとはこのことなのだと感じました。

先にちょっとここはと思った点は、、

・明らかに意識しているモチーフ作品があり、結果「サービスショット」がすぎる
・ラストシーンの前、ある演出があるのだけれど、あれ「いらない」!!!

の二点。
これはちょっと観易さを意識しすぎたのかなと勘ぐりたくなりました。

さてさて。
この作品、ついつい怪物が「誰か」をさがしてしまうのですが、、、。
ただしこれはやはりミステリー映画ではなかった。

生きていれば。

誰かを言葉で、
暴力で、
無関心で、
事勿れで、
我が身可愛さで

気づけてしまうことはきっと不可避。
それでも僕らは誰かを愛し、知り合おうとすることを止めることはない。

お話の中心点で、二人の少年は見事なまでに演じきってみせた。
坂本龍一の曲でさえ、その二人の眼差しの前では霞んだ。

今日、このタイミングで観ることに非常に意味のある作品だったと思います。

【評価・つけるとすれば】
4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年07月11日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年43本目】映画「ウーマントーキング」観ました。

【解説・あらすじ】

2010年の架空の村。
独自の生活を営むキリスト教一派の人々が暮らす村で、女性たちに対する性的暴行が多発する。
これまで女性たちは、そのことを悪魔の仕業や作り話だと男性たちから否定され、
真剣に取り合ってもらえずにいたが、やがてそれが明らかな犯罪であることを知る。
男性たちが街へ出かけ不在となる2日間、彼女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。

実在の事件を基にしたミリアム・トウズによる小説をサラ・ポーリーが映画化。
とある宗教コミュニティーを舞台に、性暴力に遭った女性たちが自分たちの今後について議論を交わす。
ルーニー・マーラを主演に、クレア・フォイジェシー・バックリー、ベン・ウィショー、製作も務めたオスカー女優のフランシス・マクドーマンドらが共演。
製作陣にはブラッド・ピットが名を連ねる。

【感想】
未来は希望だけではない。それでも明日へ進む。決断の苦しみと実行の勇気、尊さを現代社会に突きつける意欲作!

まず、脚本について。

ワンシチュエーション、ワンテーマ。
時間の流れもほぼ二日間、朝夕の時間が流れるだけ。
シンプルな舞台設計なだけに少しづつ明かされていく細かなプロットが効いてくる。
観客としてはこの大きなテーマ、「選択と決断」に向き合わざる得ない。
非常に周到に作り込まれたストーリーでした。

次に演出、演技について。
まず、やはり目につくのはワンボックスの閉塞感を強調した演出。
話し合う過程の展開、ときより発生するノイズはまるでゴドーのような演劇性。
おそらくこの古典的な、普遍的な演出をインストールしたのは意図的。
この演出があったからこそ、最後の決断、実行のダイナミズムが引き立っています。

俳優陣、率直に素晴らしい。
基本的には饒舌な会話劇でありながら、会話以外の部分も実に豊か。
目の動きや方の動き、歩くリズムなど計算されつくされていて繊細な心情を表現しきっています。
とりわけ、ルニマーラーさんももちろんなのですが、
唯一の男性役を演じたベン・ウィショーさんの背景、伝統と現代を一人でつなぎ切る演技は圧巻でした。

さて。
この映画で描かれるのは紛れもなく民主主義の尊さ、その対価としての苦悩。

まず、徹底した検証。
次に、全員一致を目指した話し合い。
最後に合意の総和を作るための議決。

結論や結果、その後の行動には責任が伴い、
いつも明るいわけでも、素晴らしいわけでもないが、
このプロセスがあるからこそ前に進める、明日を信じることができる。

これらを支えるのはやはり教育と互いへの尊敬。

果たしてこれは閉鎖的で特殊なコミュニティ「だけ」のものなのか。
僕は、あなたはいつの間にかに明日ではない何処かに向かっているのではないか。

非常に踏み絵的で、あからさまに他山の石。

今の世界を鋭く穿つ意欲作だったと思いました。

【評価・付けるとしたら」

4.1です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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by alcyon | 映画観た
2023年07月02日

こんにちは、伊豆高原の小さなオーベルジュ アルシオンのかずです。
kazu_R

【観た/2023年42本目】映画「Aftersun/アフターサン」観ました。

【解説・あらすじ】

思春期真っただ中の11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、31歳の父親カラム(ポール・メスカル)と夏休みを過ごすため、トルコの閑散としたリゾート地にやってくる。
二人はビデオカメラで互いを撮影し合い、親密な時間が流れる。
20年後、当時の父の年齢になったソフィが映像を見返すと、そこには大人になって分かる父親の一面があった。

幼いころに父親と二人きりで過ごした夏休みを、成長した女性が回想するかたちで描き、世界各国の映画祭や映画賞で話題となったヒューマンドラマ。
トルコのリゾート地で31歳の父親と短い夏を過ごした11歳の少女が、当時の父親と同じ年齢になり、父親の記憶をたどる。
監督は本作が初長編となるシャーロット・ウェルズ。
出演はポール・メスカルをはじめ、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン=ホールなど。

【感想】
あの頃。
僕はまだ若く、だけど確かに父親だった。
愛することの苦しみを見事に映し出した、控えめに言っても大傑作映画。

まず、ストーリーや構成。
ほとんどヒントなく、ただただ父と娘のひと夏の出来事をフィルムタッチの映像で切り取っていくことに徹した構成。
ドラマチックな展開は殆どないので話のメリハリやプロットの回収、
鮮やかな起承転結を期待すると確かに拍子抜け、人によっては退屈かもしれません。
逆に言えば観客の想像力、個人体験とのリンクを期待し、信頼しきった脚本であるともいえます。

次に演出だったり演技だったり。
20年前、父の風景。
今の成長した娘の風景。
映像の質を変えて視点の違いを感じさせる手法。
僅かなセリフの隙間に感情を折り込む、静的な演出。
この2つが父と娘のリズムを紡ぎ出す様は実に巧み、かつ新鮮。
ありふれたストーリーに見えてしまう、ギリギリの際を見事に渡り切っています。

父カラムと娘ソフィーの演技、そのアンサンブルも本当に美しい。
一つ一つの表情に喜怒哀楽、その間の感情までも表現しきっています。

さて。
父親とはいえ31歳はまだ若く。
娘も11歳となればそれなりに早熟で。
二人の関係はどうしても何処かぎこちなく感じるのは、これもまたいつか何処かであった光景で。

悩み、苦しみ、情けなく。
恋しく、脆く、寂しくて。
複雑な、感情の塊が受け継がれてゆく、、。

やはり思い出したのは父の面影。
いつか「その歳」になったとき僕は何を思うのだろうか。
彼の若さをどう見つめるのだろうか。

心の深く、開くのが怖かった扉からかすかに光が差し込むような体験。
素敵な作品、生涯にわたり思い出す一本になったと思います。

【評価・付けるとしたら」

4.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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